前回blogに掲載したカロナンバスケットの考察が意外と好評でした。今回は前回の考察からの続き。
前回の考察では、カロナンに前期と後期があることを説明しましたが、今回はそのもっと前。
つまり初期のものがあるという仮説です。
ちなみに私がカロナンに対する考察をしているのは、たくさんのカロナンを見て、実際にお店に仕入れて、それらの特徴をしっかり観察して行き着いた仮説です。正しいと思いますが、間違っている可能性ももちろんあります。
ビンテージの楽しみの一つとしてご参考ください。
こちら先日当店で販売したカロナンバスケット。
テネシー州メンフィスをテーマにしたトラベルシリーズです。とてもレアなカロナンバスケット。
蓋にはメンフィスに由来するものがたくさん描かれていますね。メンフィスではいくつかの大きなお祭りがありますが、コットンカーニバルはそのうちの一つ。
またメンフィスには音楽や文化の豊かな歴史があり、特にビール街(Beale Street)が有名です。ビール街は、ブルース音楽の発祥地として知られ、歴史的な建物や音楽クラブ、レストランが軒を連ねています。
このようにこちらのカロナンバスケットは、その土地のものを全面で表現したものとなっているのがわかります。このカロナンを見たらその土地を旅行した気分になれますね。トラベルシリーズの原点はここにあるのだろうと思います。またこちらは店主のカロナン。
こちらはニューオーリンズをテーマにしたトラベルシリーズです。蓋にはニューオーリンズを代表するバーボンストリート。ちなみにコインはPennyじゃないですね。
こちらはロイヤルソネスタホテルの記念コイン。ロイヤルソネスタホテルは現存するホテルでニューオーリンズでも人気のあるホテルですよ。
このように両者には特徴があります。
前期モデルと同じく、サイド部分の建物には名称の上からコーティング。蓋にはその土地のことを手描きで描く。
この特徴から以下の仮説を考えました。
カロナンには前期(60年代)〜後期(70年代)があるとしましたが、これらの特徴のカロナンはそのもう少し前に作られたもので、初期のカロナンだと思います。またPennyの製造年説は半分正解、半分誤りなのだと思います。
具体的には、カロナンは1960年からスタートされたと言われていますが、そのスタート時にはPennyを製造年という発想で使っていないと思われます。また実際には1960年ではなくもうちょっと前の1950年後半(58とか59年くらい)から作っていたのではないかと思います。その証拠に上記の条件に当てはまるカロナンは1949年や50年前半などまったく時代背景が異なるコインや店主のカロナンのようにその土地に由来するコインが貼り付けられています。そしておそらく1962年後半からPennyを製造年として貼り付け始めたのでないかと。
これには根拠があり、1962年以降のPennyは1963.1964.1965.1966・・・とほぼ作風が同じです。(前回の前期の定義に当てはまる)
これにより店主はカロナンをパッと見て60年代のものと判別できます。当然70年代も。つまり作風とPennyの製造年が概ね一致することがわかったということです。
これら初期のカロナンは、ひとつひとつとても手間暇をかけて作ったのだと思います。
じっくりとその土地を思い浮かべながら、しっかりとテーマを「設計」して作ったのだと思います。だからこそのトラベルシリーズだったのだと想像します。
後にニューヨークのファッション媒体に取り上げられると、急激に需要が増加。カロリンとナンシーは2人でこれを作っていましたので、とてもじゃないが「設計」して作ってる暇がない。
だからサイドの建物だけその土地やブティックの名前を書いて、蓋は手書きもやめて、その土地になんの由来もないシールを貼り付けるようにした。(これが60年代)
これが後に販売するブティックが増えすぎて、どこの土地で売るものなのかもわからなくなってしまった。なので建物(建物名空白)や蓋のシールを貼り付けただけの状態で納品することにした(これが70年代)
70年モデルにブティック名がない理由もここでしょうね。
これがカロナンオタクのawesome店主が、たくさんのカロナンをこれまで見て、触って結論を出した考察結果です。
いやいや、そうじゃなくてこんなカロナンもあるよ!って情報があれば是非ご提供ください。
単に可愛いとか、ビンテージぽいとか、そういうのではなくて、お使いいただくカロナンの時代背景まで想像して使っていただけると幸いです。